自覚症状がない病気は実は多い
「自分の身体は自分が分かっている」と思っている方もいますが、なかなか自覚するのが難しい上に、命を落とす危険性のある病気は決して少なくありません。
特に、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病や「がん」などは、自覚症状に乏しい傾向があります。「発見された時にはすでに、かなり進行していた」というケースは非常に多いようです。ご自身の感覚だけで判断する事は、難しい場合があります。
「自分では分からないこともある」と思いながら、健康に気を付けていきましょう。
自覚症状がない糖尿病
ほとんどの場合、糖尿病は自覚症状に乏しいまま進行します。そのため早期発見するには、定期的に健康診断などでご自身の健康状態をチェックする必要があります。
糖尿病の自覚症状としては「のどの渇きがひどい」「トイレが近くなる」、「疲れやすい、身体がだるい」、「いくら食べても痩せてしまう」などが挙げられます。しかし、このような自覚症状が現れる時点で、かなり進行している状態だと言えます。
合併症について
三大合併症
こむら返り、足のしびれ・冷え、自律神経障害(めまいやED、排尿・排便障害)などの症状が現れる「糖尿病神経障害」や、透析を始める原因となる「糖尿病性腎症」、失明のリスクがある「糖尿病網膜症」を合わせて、糖尿病の「三大合併症」と呼びます。
動脈硬化性疾患
高血糖の状態が続くと、血管の中にあるブドウ糖やコレステロールは「プラーク」に変わり、血管の内側へ固まっていきます。このプラークが大きくなると血管はしなやかさを失い、硬くもろくなっていきます。この状態を「動脈硬化」と呼びます。
動脈硬化が進行すると、脳卒中や腎硬化症、閉塞性動脈硬化症、心筋梗塞といった、命に関わる疾患の発症リスクも高くなります。
その他
近年、糖尿病は「骨粗しょう症や認知症、がん、歯周病などの発症リスクも高めてしまう」ことが判明されています。しかし早期発見・治療を行っていけば、健康な頃と変わらない日常生活を送ることが可能です。
健康診断などで早期発見に努め、早期治療を受けて重症化を防ぐようにしましょう。
自覚症状がない高血圧
高血圧は日本人に多くみられる生活習慣病です。しかし、糖尿病と同様、自覚症状に乏しい疾患です。高血圧を放置し続けると心臓や血管への負担が大きくなるため、脳卒中や心筋梗塞などのような、重篤な疾患の発症リスクを高めてしまいます。
発見が遅れてしまったことで、あらゆる合併症を引き起こしてしまった方も少なくありません。健康診断や人間ドックなどを通して、ご自身の血圧を定期的にチェックしていきましょう。
高血圧チェックをしてみましょう!
- 体重が重い
- 運動する習慣がない
- お酒が好きで、よく飲酒している
- 喫煙の習慣がある
- 塩辛い食べ物をよく食べている
- 野菜が苦手
- イライラしやすい
- 怒ることが多い、怒ることを我慢している
- 睡眠中、呼吸が止まっていることがある
- 周囲の人から「いびきがうるさい」と指摘されたことがある
当てはまる数が多いほど、高血圧の可能性が考えられます。
血圧を測るタイミングとは?
健康な方の血圧の場合、睡眠中は低くなり、活動中は高めになる傾向があります。しかし、動脈硬化が進行すると、睡眠中に血圧が低下しなくなるため、心臓や脳の血管障害を起こすリスクが高くなってしまうのです。
睡眠中に血圧を測定することはできませんので、できれば朝起きた直後に、ベッドや布団の中で血圧を測ることをお勧めします。夜勤などの予定で夕方に起床する方は、夕方に測っても問題ありません。
血圧計をベッドや布団の近くに置き、寝る前に測る習慣を作るのもお勧めです。
血圧は変動するもの
意外と知られていないことですが、血圧は常に一定ではありません。測定する時間帯・季節などによって変動します。1日の中で20~30mmHgの変動があっても、問題はありません。
しかし最高血圧の変動が大きい方ほど、動脈硬化が強い可能性が考えられます。最高血圧と最低血圧の差は、40〜60mmHgが正常だとされています。差が大きい場合は、内分泌異常などを引き起こしている可能性があります。
自覚症状がなくても少しでも違和感がある時はお気軽に当院へご相談ください
先述したように、糖尿病や高血圧は自覚症状に乏しい病気です。現在、症状がなくても、知らず知らずのうちに進行している可能性もあるのです。
進行してしまうと、QOLが大幅に低下する合併症や、命に関わる疾患にかかってしまう恐れがあります。
「健康診断で異常を指摘された」「症状に心当たりがある」などでお困りの方は、ぜひ当院まで、お気軽にご相談ください。